両眼をえぐりとって布施をした尸毘王

 遠い昔、尸毘王と言う誰からも批判されない正しい政治を行った王様がいました。都の色々な所に布施所をつくり毎日のように人々に布施をしていました。ある日、王様は自分の布施について考え物質的な物で自分が布施しなかった物は一つも無い事を知りましたが、王様は「これだけでは本当の布施にならない。自分の身を犠牲にして行う布施こそ功徳ある尊い布施なのだ」と考えました。そこで、「だれかが自分の心臓・肉・血・眼球などをほしいと言ったら、よろこんで布施しよう」と心にきめて布施所へでかけました。王様の決意を知った神々の王である帝釈天は、王様の決意が本当かどうかを試そうと、盲目の老人に姿を変えて王様の前に現れ、王様の両眼のうち一つを布施してほしいと願いでました。王様は自分の決意を実行に移す時が来た事をよろこび、王宮に帰ってジャータカと言う医者を呼び、自分の眼球を取出し老人に移植するように命じました。王様は残りの眼でその様子を見て「自分の布施は素晴らしい布施だった」と内心からあふれ出る喜びで一杯になり、残りの眼球をも布施してしまいました。こうして両眼を布施して盲目となった王様は、王国を大臣にまかせて、出家して僧侶となりました。その後、王様は自分の布施が充分であったかを考えました。帝釈天は王様の眼を元通りにしてあげようと姿を現わし、「尸毘王よ、あなたが眼を布施した結果として、あなたに眼が生じるように」と言うと、たちまち王様には第一、第二の眼が生じたのです。それは生まれたままのものでもなく、神々のものでもない。「最高の尊い真実の眼」と呼ばれるものであったと一切経のなかに書かれています。この尸毘王とはお釈迦様の前世のお姿でありました。

2015年11月01日