(1)
日蓮大聖人遺文のなかでも最も重要なものである『立正安国論』・『開目抄』・『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』の三書をいう。『立正安国論』は諫文、『開目抄』は人開顕の書、『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』は教法開顕の書として著名であり、この三書をもって日蓮宗の根本聖典とする。ただし抽出の規準により諸説がある。『立正安国論』は献白書であるゆえに性格が異なるとし、これに代えて『撰時抄』を挙げる説や、量的に大部のものとして『報恩抄』を挙げる説もある。即ち『開目抄』・『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』・『撰時抄』と、『開目抄』・『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』・『報恩抄』の二説で、従来はこの二説が中心であったようであるが、最近は聖人の宗教に占める位置や他宗祖師との比較の上から『立正安国論』・『開目抄』・『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』を挙げることが多い。
(2)
天台大師智顗(五三八-五九七)の講説である『法華玄義』10巻、『法華文句』10巻、『摩訶止観』10巻の3書30巻をいう。『法華玄義』は法華経の概論書、『法華文句』は法華経の解説書、『摩訶止観』は法華経の実践を説く書として重要視され、この三書をもって天台宗の根本聖典とする。六祖荊渓湛然(七一一-七八二)はこれに注釈を加えた。『法華玄義釈籤』10巻、『法華文句記』10巻、『摩訶止観輔行伝弘決』10巻の計30巻がこれで、智顗の三書と合わせて本末60巻と称する。